目次

 

◆板金加工とは?

 

◆板金加工の用途とその特長について。

 

 ・板金加工の用途

 

 ・板金加工の特長

 

◆ 板金加工でよく使われる材料について

 

 ・軟鋼板

 

 ・表面処理鋼板

 

 ・ステンレス鋼板

 

 ・非鉄鋼板

 

◆板金加工とプレス加工の違い

 

 ・機械板金

 

 ・手板金

 

 ・プレス加工

 

◆板金加工のメリット・デメリット

 

 ・メリット

 

 ・デメリット

 

◆板金加工の工程フローについて

 

◆まとめ

 

板金加工とは?

 

板金加工とは数ある金属加工の一つで、主に薄い板状の金属素材を使って用途に応じて成形する加工方式です。

 

板状の金属素材を切断したり、抜き、曲げるなど加工できる範囲も広く、金属製品や部品であれば何らかの形で使用されている方法です。

 

また、強度を高めたり軽量化する事も柔軟に対応できるといった面でも大変魅力的な加工方法と言えます。

 

板金加工の用途と特長について。

 

板金加工で行われる切断や抜き、曲げといった加工はどれも塑性加工と呼ばれる金属素材に一定の力を加えた時に起きる金属の変形を利用した加工になります。

 

板金加工の用途

 

その用途としては大変幅広く、私たちが日常生活を送るうえで欠かすこ事のできない金属製品や、電化製品などに使用されています。

 

例を挙げると、キッチンの流し台やロッカー、事務机といったオフィス用品であったり、ノートPCのフレーム部分がそうです。

 

工場の屋根やダクトなどの建築板金、工作機械で製作される機械板金でも使用されているなど、様々な工作製品が板金加工によって生み出されています。

 

また、電極のような小さな形状の電子部品のほとんどが板金加工によって製作されていると考えて良いでしょう。

 

板金加工の特長

 

板金加工が幅広く使われている理由としては、板状の金属で加工しやすく、大きさや用途、どのような材質にも適用しやすい事が挙げられます。

 

加工時間も短く、パソコンのケースや自動車の外装のような筐体の製作や加工に適しています。

 

また、材料費や加工費用も他の加工方法と比較しても安価で済み、コスト面でも優れているといった点でも幅広く採用されている事も特長として挙げられます。

 

板金加工でよく使われる材料について。

 

板金加工で使われる素材としては、大きく鉄鋼と鉄と鋼以外の非鉄金属2種類に分けられます。

 

代表的な素材としては、鉄鋼は主に鉄やステンレス、非鉄金属ではアルミ、銅が挙げられ、金属以外ですと合成樹脂や繊維材料などと用途に応じて様々な素材が使われています。

 

鉄鋼の板金加工では、主に軟鋼板・表面処理鋼板・ステンレス鋼板があります。

 

軟鋼板

 

軟鋼板は、自動車の車体部分などで使用される冷間圧廷鋼板や、同じ自動車でも駆動部分のような、より強度が求められる部分で使用される熱間圧延鋼板が代表的です。

 

表面処理鋼板

 

表面処理鋼板は、軟鋼板の表面を耐食性や装飾効果の向上を目的としてメッキ加工などを施した鋼板の事を言います。

 

建造・建築物や自動車、家電製品など耐食性が求められる製品や構造部分に使用されています。

 

ステンレス鋼板

 

ステンレス鋼板は、サビに強く耐久性にも優れている事から大変幅広い分野で需要があり、ドーム球場の屋根やビルの内外装といった建築物から家電製品、精密機械といった身近なものまであらゆるところで使用されています。

 

非鉄金属

 

非鉄金属であるアルミと銅の板金加工では、鉄鋼と比べて強度は低いですが、伝導性や軽度がより求められる金属部分や製品に使われています。

 

アルミの場合ですと、飲料缶や軽量で強度も必要な航空機材などで使用され、銅は伝導性が求められる電線や電気機器、放熱板などで使用されています。

 

どちらも熱伝導と導電性共に高いですが、鉄鋼と比較して高額でコストがかかる事から、構造部品などではほぼ使用されていません。

 

板金加工とプレス加工の違い。

 

板金加工の種類として「機械板金」「手板金」「プレス加工」の種類に分けられます。

 

板金加工とプレス加工、広義としてはどちらも板金加工になりますが、大きく違う点としては「金型」の使用の有無があります。

 

機械板金

 

機械板金は、使用用途に応じた形状に対応しやすく、汎用性が高い事で知られていて、クライアントの要望に応じた加工や立体的な形状の加工を得意としています。

 

手板金

 

手板金は、基本的に機械を使わず職人による手作業で行われ、プレス加工や機械板金では再現できないような複雑な形状の加工を求められる場合に使用されます。

 

手板金は少量生産、完全オーダーメイドのような特殊な加工や、航空機や新幹線のようなより精密な流曲線の加工が必要とされる部分など、緻密な加工を実現する事ができます。

 

プレス加工

 

一般的に板金加工と呼ばれる手板金と機械板金は金型の必要性がありませんが、その一方でプレス加工の場合は専用の金型を必要とするため、その分コストは割高になります。

 

その反面、プレス加工は一つの金型を使って短時間で大量生産を行う事ができ、高い生産性を誇ります。

 

板金加工のメリット・デメリット。

 

板金加工にはどのようなメリット・デメリットがあるのか。

 

ここでは板金加工とプレス加工、それぞれの特長から比較した結果、次のような点が挙げられます。

 

メリット

 

まずメリットとしては、プレス加工や他の加工方法と比較してコストが少なくて済む点です。

 

同じ板金加工でもプレス加工のように金型を用意する必要がなく、素材があればすぐに加工の工程に入れるといったイニシャルコストの面でも

優れていると言えます。

 

また、板状の金属の加工であるため、加工もしやすく短時間で済みますし、曲げ・抜き・穴あけ・溶接といった多様な加工にも柔軟に対応する事ができる点もメリットとの一つとして挙げられます。

 

デメリット

 

反対にデメリットとしては、大量生産が難しく製作に時間がかかってしまう点が挙げられます。

 

プレス加工と比較して複雑な形状が加工できる反面、同じ型であれば短時間で大量生産できますが、板金加工では一つ一つ製作していきますし手板金のような職人による手作業で行う必要がある加工もあります。

 

このようにどちらの板金加工でもメリット・デメリットがありますのでそれぞれの特長を把握したうえで、取り扱う材質やサイズ、厚みを考慮し、目的に沿った加工方法を選択していく事が重要になります。

 

板金加工の工程フローについて

 

板金加工はどのような工程で行われるのでしょうか?

 

こちらのフローに関しては、機械板金を例にして説明していきます。

 

設計

 

まずは製品の様々な仕様を決めていきます。

 

設計そのものはクライアントであるお客様側で用意するケースが多いですが、この初期工程でコスト面や必要精度なども考慮しながら要望に沿える設計をしていきます。

 

材料選定

 

設計が終われば、依頼された製品の目的に最適な素材を選定していきます。

 

使用環境や素材の相場、流通性に関しても十分考慮しながら慎重に選定していく必要があります。

 

ブランク加工

 

材料が決まればいよいよ加工の工程に入っていきます。

 

ブランク加工は、展開形状のとおりに板状の素材を切断したり、穴あけを行っていきます。

 

加工を行う事で切断面にできてしまうバリの除去なども、この段階で処理して行きます。

 

曲げ加工

 

ブランク加工が終われば金属板を折り曲げていく曲げ加工に入ります。

 

プレスブレーキと呼ばれる機械を使って、ブランク加工によって切り取られた平板を適切な角度に折り曲げて成形していきます。

 

曲げ加工は全行程の中でも大変重要な工程になります。

 

溶接加工

 

曲げ加工によって成形された金属板同士を溶接で組み合わせていきます。

 

仕上がりの品質に大変大きな影響を与える工程になりますので、加工対象となる材質や形状に最適な溶接を行う必要があります。

 

仕上げ加工

 

溶接が終われば溶接部分の凹凸部分をならしたり、溶接の焦げ跡を除去する仕上げ加工に入ります。

 

表面加工

 

必要に応じてメッキ塗装などの表面加工を行います。

 

こちらも品質の善し悪しに大きく影響が出てしまう工程になりますので適切な処理を行う事が求められます。

 

組み立て

 

複数の金属板による組み立てが必要である製品を組み立てて完成品として仕上げていきます。

 

検査・納品

製品が完成したら、検査項目や基準に沿って仕上がりの寸法や品質をチェックし、OKであればお客様に納品して確認をしてもらいます。

 

問題がなければこれで全行程完了となります。

 

まとめ

 

この記事では、私たちの日常生活を支える板金加工についての特長やフロー、メリット・デメリットを中心にお伝えしました。

 

板金加工の使用用途は大変幅広く、建造物の屋根やダクト、排水管といった内外装であったり、自動車や航空機、新幹線といった交通手段に欠かせない乗り物などで使われています。

 

小さいものであれば家電製品や、ノートPCのフレームといったOA機器もそうですし、電子機器の部品一つ一つでも板金加工によって生み出されています。

 

このように板金加工で製作されているものは、私たちの日常生活において当たり前のように存在しているものばかりです。

 

板金加工の優れた点はやはり多種多様性に応じて柔軟に対応できるだけでなく、比較的安価で製作できる事にあります。

 

緻密な流曲線が必要な加工物であれば職人の手作業による手板金を選択できますし、生産性を求める場合であれば、一つの金型があれば短期間で大量生産ができるプレス加工を選択する事ができます。

 

このように加工方式も豊富で、サイズや材質といったあらゆる条件や素材にも適用する事ができる事が大きなメリットと言えるでしょう。

 

日本の板金技術は年々進化しており、ここまで発展してきた事は高い品質を追求し続けた日本人の「ものづくりに対するこだわり」が大きく寄与しています。

 

これは板金技術だけに限らず、全ての金属加工や精密機械、精密部品の製作にも共通する事です。

 

数ミリ単位の小さな部品の小さな誤差も一切妥協する事のない日本の金属職人のプライドが私たちに受け継がれています。

 

株式会社サンライズ機工では、精密機械のシャフト加工をメインに金属加工を行っておりますが、他にもどのような金属、小ロットでも加工致します。

 

各種、金属加工をお考えでしたら、純国産、日本の伝統である物作りの精神と高品質にこだわった私たちサンライズ機工にご相談下さい。