目次
◆工作機械とは?
◆工作機械の種類とその用途について。
・切削加工で使われる工作機械
旋盤
ボール盤
フライス盤
マシニングセンタ
・研削加工で使われる工作機械
研削盤
・特殊加工で使われる板金機械
レーザー加工機
放電加工機
超音波加工機
プレス加工機
◆まとめ
工作機械とは?
工作機械は、金属やプラスチック・木材などの素材を切削や研鑽といった工程を用いて用途に応じたサイズや形状に加工するための機械の事です。
素材を必要なサイズに切削したり、穴を開けたり削るといった切削加工や、砥石を使って削る研削加工をする機械の事を、一般的に工作機械として呼ばれています。
これ以外の工程で使われる機械は、圧力をあたえるプレス加工、万力を使って形状を加工する曲げ加工は工作機械ではなく、板金機械と呼ばれています。
工作機械の種類とその用途について。
工作機械の種類は加工方法によって分けられ、主に切削加工・研削加工・特殊加工の3種類があります。
それぞれ加工別に、その用途についてみていきましょう。
切削加工で使われる工作機械
旋盤
旋盤とはチャックという回転台に加工したい対象物を固定して、バイトと呼ばれる工具をあてて工作物を削る加工の事で、工作機械の中でも最も多い機種になります。
その旋盤加工に使われる工作物としては、加工方法から円筒や円盤状の工作物が適しており、外丸削り・面削りといった切削方法で成形します。
普通旋盤もしくは汎用旋盤と呼ばれるベーシックな旋盤から、NC(数値制御)装置の機能が加わり自動的に刃物の種類を変えたり、加工ができるNC旋盤という工作機械などがあります。
ボール盤
ボール盤は主に穴を開けたり広げる時に使われる工作機械です。
台に固定した加工素材に回転する主軸の先端にドリルやリーマを取り付けて穴をあける穴あけ加工を行います。
他の工作機などでも穴開け加工ができますが、ボール盤は穴あけ加工に特化した工作機械として、用途に応じたドリルを使って穴開け加工ができる事が特徴として挙げられます。
ボール盤の種類も豊富で、一般的な穴開けで使われる直立ボール盤や複数のドリルをセットできるタレットボール盤、旋盤と同じくNC制御を取り付けたNCボール盤などがあります。
フライス盤
加工物を回転させて工具をあてて削る旋盤に対して、フライス盤は刃物である工具を回転させて固定した素材を削る加工方式です。
回転するシャフトにフライスと呼ばれる刃物を取り付けて、バイスで固定された素材を削る工作機械です。
主軸の向きによって分類され、主軸が平面に対し垂直に向かうフライス盤を立型フライス盤、水平のフライス盤を横型フライス盤と言います。
また、縦横兼用で主軸が180度動く万能フライス盤は、ギアやドリルなど、形状が複雑な加工にも対応できます。
マシニングセンタ
マシニングセンタは旋盤からスライスなど多数の工具を自動で交換してNC旋盤のように自動で加工ができる工作機械です。
マシニングセンタは、主に使用できる軸の制御数によってコストが変わり、本数が増えるほどより高度な加工が可能となります。
マシニングセンタのタイプによって、大量生産に向いているものや少量生産で多量の品種が成形できるものなど、得意とする加工や用途が違ってきます。
どれも高機能を搭載しているため、その分コストも高くなりますので、より必要な機能性や用途に応じた機種を選択する事が求められます。
研削加工で使われる工作機械
研削盤
研削盤は砥石を使って素材を加工する加工方式で、除去加工を代表する工作機械になります。
高速で回転した砥石に加工素材をあてて加工しますが、主に切削加工の仕上げ工程で使用されています。
切削加工よりも精度の高い加工が可能で、平面を削る平面研削盤や円筒素材を削るのに適した円筒研削盤、その内側を削る内面研削盤やジグ研削盤が加工に使用されています。
他にも歯切り加工を行う歯切り盤から、NC装置を取り付けて自動化したNC研削盤など、多種多様な工作機械があります。
特殊加工で使われる板金機械
レーザー加工機
レーザー光線の照射を利用して加工素材を切断したり、マーキングする事ができる機械の事をいいます。
こちらの加工方式は、切削や研削のように工具を直接あてて削るのではなく、非接触で加工するといった特長があります。
機械式の切断とは違い、切断面のバリなどが少なく比較的キレイに仕上がる、非接触のため振動が少ないといったメリットがありますが、厚い素材や熱伝導率の高い素材には向かないというデメリットがあります。
放電加工機
電気の放電エネルギーを利用して加工する機械で、加工ワークと電極のスキマに放電し、その衝撃で金属を削る加工方式です。
複雑な形状や硬い金属の加工も得意としており、金型の成形などで使われています。
加工に時間がかかってしまうため、NC制御が取り込まれたNC放電加工機による自動加工で行われます。
放電加工の一種であるワイヤーカットは、ワイヤーに電流を流してそのエネルギーを利用して加工素材を切断します。
レーザー加工は薄い素材の加工に適していますが、ワイヤーカットも厚さに影響される事なく導電性であれば精度の高い加工ができます。
超音波加工機
超音波加工は、工具の超音波振動と砥粒を利用して加工素材を砕きながら加工します。
加工が困難とされているセラミックや宝石、ガラスなどの硬くて脆い素材も加工でき、加工時間も従来の加工方法と比較して大幅に短縮できる事が特長として挙げられます。
超音波の振動の周期に併せて加工素材に工具をあてて加工するため、工具が常時接触せずに離れるタイミングがあり、工具の負荷や発熱を抑えて素材の変質を防ぐ効果もあります。
超音波加工は、切削や研削だけでなくプレス加工などでも使われており
超音波カッター・超音波研磨・超音波スピンドル加工・超音波砥粒加工など幅広い加工方法があります。
プレス加工機
プレス加工は、金属素材を金型で挟んでプレス機械による圧力を利用して加工する加工方式です。
プレス加工は自動車部品などでよく使われ、加工スピードが速く大量生産に向いているなど、生産性が高い事で知られています。
プレス機械は、複数のプレス加工によって複雑な形も成形できたり、切断や型抜き、曲げ加工といった様々な加工にも対応できます。
人の手によって金型を交換して使う汎用プレス機械から、素材を自動で送りながら順番にプレスできる順送り加工に対応した自動プレス機械など、用途に応じて数多くのプレス機械が使用されています。
まとめ
この記事では、日本が誇る工作機械についてお伝えしました。
工作機械によって製造されたものは、私たちの日常生活において当たり前のように存在しているものばかりです。
日頃何気なく使っている時計やパソコン、スマートフォンのような精密なデジタル機器や、家電製品や自動車など全て工作機械によって作り出されています。
そんなものづくりに欠かせない工作機械は、国の工業力や生産性にも直結しており、工作機械の性能の優劣によって製品の競争力に影響しています。
技術力の向上によってさらなる進化を続けてきた工作機械は、金属だけでなくプラスチックやガラス、宝石といった硬くて脆い素材の加工も可能とし、
また、NC制御を搭載して自動運転を行うNC工作機械の登場によって、生産性が大幅に解消され、加工の精度もバラツキがなく高精度なものを大量生産できるようにもなりました。
ここで紹介した加工方法や工作機械以外にもまだまだたくさんの種類があり、これからも高い技術力を誇る日本の企業が競い合いながら、さらに高レベルな加工や生産力を生み出す工作機械を開発していく事でしょう。
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