金属シャフト加工について。大阪のシャフト加工のプロ職人が語ってみた。

シャフトとは?

シャフトとは精密機械や自動車部品などの「軸」となる部分の事で、人間の体で例えると背骨を中心とした体幹部分にあたります。

シャフトを中心として機械や部品を回転させる目的で使用されており、正確に動力を伝える為には無くてはならないものです。

機械以外ではゴルフクラブの柄の部分でも使われていますので、金属や製造関係に携わっている方や、よくゴルフをされる方には馴染みのあるこのシャフト。

実はそれ以外にも現代を生きる私たちの日常生活のあらゆる場所で、このシャフトの恩恵を受けています。

シャフトの種類について。

日常生活をしているうえで、あまり聞き慣れないシャフトですが、自動車やOA機器などあらゆる機械製品などに使われており、またその用途に応じて様々な種類や加工方法があります。

まずは代表的なシャフトの種類について、いくつか挙げてみました。

精密シャフト

精密シャフトは高精度シャフトとも呼ばれ、その名前の通り通常より高精度のシャフトの事を言います。

通常のシャフトと異なり、例えば1mの長さで円周振れ制度が3/100以下といった高度な精密さを要求される部品になります。

主に摺動部(軸とベアリングのように互いに擦れながら滑って動く部分)や、モーターのように高回転で動くシャフトなど、動力を伝達する精密機械や産業用機械に使用されています。

精密シャフトによく使われる金属はアルミや鉄になりますが、特に決まった材料はなく、要望に応じた金属や素材を使って成形することも可能です。

ただし、使用用途によって維持できる硬度が異なってきますので、焼入れによる強化や研磨の必要性があります。

表面処理加工によっても、精密シャフトの耐久寿命も大きく変わるため
加工業者に依頼する際には目的や要望をしっかりと伝えるようにしましょう。

小径シャフト

小径シャフトは文字通り小型のシャフトの事で、小径ピンや位置決めピン、平行ピンがこれに該当します。

対応できるサイズに関しては、各製造・金属加工会社によりますが、直径10mmのものや1.5mm未満のピンなど、用途に応じた加工が可能です。

小径シャフトがよく使用されているものとしては、半導体や医療機器などの電子部品で使われています。

長尺シャフト

直径数cmのものから数mという長さのものまで幅広く

長尺シャフトは長さがあればその分、耐久性や強度だけでなく自重によるたわみなども考慮しなければならず、高度な加工技術が要求されます。

大きいものでは建設現場などで使用されるボーリングマシンなどのシャフトがあります。

長尺シャフトと聞くと、主にゴルフクラブの柄を想像される方もいらっしゃるかと思われますが、他の一般的な道具ではトレーニング用のバーベルなどでも使われています。

スプラインシャフト

スプラインシャフトは、自動車などで使われるギアや、航空機のプロペラの動力伝達の軸として使用されています。

スプラインシャフトは主に軸の周りに歯状の凹凸を利用して、軸のトルクを伝達させる目的で使用されます。

角形のものや三角形の山にしたセレーション型など、様々な形状があります。

クランクシャフト

クランクシャフトも自動車において重要な部品で、エンジンの中で高速回転する動力の中心的存在として使用されます。

メインジャーナルと呼ばれる中心部からの動力をコネクティングロッドが伝達して連動的に動く回転軸です。

クランクシャフト全体の構成としては、軸となるクランクジャーナルからコネクティングロッドとつながるクランクピン、クランクピンとクランクジャーナルをつなぐクランクアームという構図になります。

このクランクシャフトの連動した動きによって、ピストンの上下運動から回転運動に変換し、クラッチや変速ギアを介し車輪を駆動して車を走らせています。

使用用途に応じたシャフト加工について

様々な部品や道具、小径のものから長尺のものまで、あらゆる用途で使われているシャフトですが、その用途に応じた加工方法もたくさんの種類があります。

このシャフト加工についても、代表的なものを挙げてみました。

旋削加工

旋削加工は切削加工の一つで、回転する刃物に加工したい金属をあてて削る方法です。

シャフトの加工だけでなく、医療機器などの精密部品など、様々な業界や部品などで使われている金属加工の代表的な用法です。

主にNC旋盤と呼ばれる工作機械で円柱状の材料を回して、そこにバイト(金属を削る刃)を当てて加工していきます。

複雑な形状にも柔軟に対応する事ができるだけでなく、非常に硬い耐熱合金や、木材や樹脂・プラスチックなど金属以外の素材でも加工が可能です。

機械工作において、この旋削加工が施されていないものはほとんどないと思ってよいほど、必要不可欠な工程作業となります。

研削加工

研削加工は切削加工で落としきれなかった余分なバリなどを研磨してしあげていく加工方式です。

表面を滑らかに仕上げたい場合や、超合金など通常の旋削では対応しきれない硬い材料を高精度に加工する事が可能です。

研削の方法もいくつかあり、代表的な方法としてはセンターレス研磨円筒研磨があります。

センターレス研磨と円筒研磨の特徴について

センターレス研磨は固定された刃(ブレード)と、回転する調整車、研削砥石の3つの支点で、工作物の回転と調整車のバランスを使って、工作物を綺麗に研削する方法です。

連続生産が可能で、加工時間が円筒研磨と比べて短縮できると、両端に工作物を回転させるためにあけるセンター穴を開ける必要がない点がメリットとして挙げれれます。

円筒機構は工作物の両端にセンター穴を開けて回転の支柱とし、工作物を回転させながら回転している砥石に押し当てて研削する加工方式です。

センターレス研磨と比べて高精度な加工が可能ですが、一方で加工前の下準備であるセンター穴を開ける作業や、工作物を固定するチャッキングに時間を要するなど、生産性で不利なところがあります。

プレス加工

プレス加工は加工する金属を金型に当てて、プレスする機械を使って荷重による圧力を加え、型通りに変形させる加工方法です。

プレス加工による成形だけでも、金型を取り付けて切断をしたり、穴あけや折り曲げ加工ができたりと、様々な形に変えて成形することができます。

プレス加工をするための上下運動を行う動力として、回転運動を上下運動に変更する機械式と、油圧の力を利用した油圧式などがあります。

使われているプレス機械にも様々な種類があり、上下運動だけでも先述したクランクシャフトが使われているクランク機構や、下降時と上昇時で変速の動きをするリンク機構、上下運動が最も下がったところで一時停止した動きをするナックル機構があります。

ここで挙げた加工方法以外にも、歯切盤を使って歯車の形状に加工する歯切り加工や、シャフトとベアリングの組付けを調整する面取りなどたくさんの加工方法があります。

ものづくり大国日本。メイドインジャパン復活のために。

いかがだったでしょうか?

この記事では、主に動力の伝達に欠かせないシャフトの種類と、その加工方法についてお伝えしました。

金属や製造関係に携わっている方や、ゴルフが好きな方には馴染みのあるシャフトという名称ですが、日常生活を送る上でこの存在を意識する事はほとんどないと言っていいでしょう。

しかし、私達の生活において大変身近な存在である自動車や事務所やコンビニの複合機でもこのシャフトは使われており、普段目につかないところで現在の便利な生活を享受してくれています。

様々な機械製品や道具でも使われ、わずか数mmの小径シャフトから数mもある長尺シャフトまで、大きさや長さも用途に合わせて幅広く使用されているシャフト。

見た目ではただの一本のピンや金属の棒にしか見えないかもわかりませんが、一つ一つがとても精巧に作られています。

人間の体でいう背骨や体幹部分のように、全体のバランスを維持しながら正確な動力の伝達を必要とする大切な部分のため、熟練された高度な技術がなければ製造することはできません。

私たち株式会社サンライズ機工では、精密機械のシャフト加工をメインに金属加工を行っており、他にもどのような金属、小ロットでも加工致します。

ものづくり大国である日本が再び世界に誇る技術大国として復活する事を目指し、この大阪の若くて小さな町工場の中で、金属をこよなく愛するプロの職人集団が一つ一つ品質にこだわり、想いを込めて今日もこれからも変わる事なく作り続けていきます。

各種、金属加工をお考えでしたら、純国産、日本の伝統である物作りの精神と高品質にこだわった私たちサンライズ機工にご相談下さい。