切削加工の技術について。大阪の職人集団がわかりやすく解説してみた。

 

 

切削加工とは金属加工の用法の一つで、切削工具を使って対象物を切り削る加工方法の事を言います。

大昔から使われている金属加工の方法で、現代でも切削による加工物の数は大変多く、金属加工された部品の数だけ切削が用いられているといっても過言ではないほどです。

身の回りに存在する自動車や自転車、家電類やOA機器などの金属部品や素材には必ずその加工が施されていると思っていて間違いないでしょう。

今回は、そんな切削加工について、大阪の職人集団がわかりやすく解説していきます。

 

目次

◆切削加工とその特徴について。

・高精度な加工が可能である。
・複雑な形状でも加工が可能である。

・様々な素材でも加工が可能である。

◆切削の加工方法について。

・外形加工

・内部加工

・穴開け加工

・ネジ加工

・抜き加工

◆切削加工の種類について。

・スライス加工

・旋盤加工

・穴あけ加工

・NC加工

◆切削加工は日本が誇る技術の象徴

◆まとめ

 

切削加工とその特徴について

 

切削加工とは金属加工の用法の一つで、切削工具を使って対象物を切り削る加工方法の事を言います。

切削加工には主に2つの加工方式があり、旋削加工と呼ばれる対象物を回転させて切削工具をあてて削っていく方式と、その反対に対象物を固定して切削工具を回転させて削っていく転削加工です。

依頼に応じた形状や寸法に削って加工していきますが、材質やサイズ・対象物の形状によって加工方式や用いる道具も変わってきます。

そんな切削加工の特徴としては次のようなものが挙げられます。

 

高精度な加工が可能である。

高精度な加工が可能な切削加工は、精密さが要求される医療用機器やカメラのレンズ、航空分野で使われる金属部品などで使われていて、0.1ミリ単位の高密度の切削も可能です。

 

複雑な形状でも加工が可能である。

丸形や角形などの形状から、凹凸や溝をつけたり穴を開けるといった加工が可能で、様々な用途に応じて加工する事ができます。

削る箇所も外径や側面、端面など、ピンポイントで削る事ができますので、高度な技術が必要となる複雑な形状をした精密シャフトにも対応する事ができます。

 

様々な素材でも加工が可能である。

切削加工は金属だけでなく、木材や樹脂・プラスチックといった素材でも加工する事ができます。

素材によってはチタンのような硬いものから木材などの柔らかいものまで様々ですが、あらゆる素材や硬さにも対応できるところも大きな魅力として挙げられます。

 

切削の加工方法について。

加工方法は目的に応じて様々ですが、基本的な方法として次の5つが挙げられます。

 

外形加工

外形加工は文字通り、対象物の外形を加工する方法で、外側部分を削って依頼に応じた加工を行います。

外側部分でも、側面を削ったり材料の端面を削ったり、用途に応じた切削が可能です。

加工には剣バイトと呼ばれる工作物を切削する刃を使って加工し、外形加工では、作業者からみて右側を切削する時に使う「右勝手」と、左側を切削する時に使う「左勝手」、両側を切削する時は「勝手なし」と呼ばれています。

 

内部加工

外部加工とは反対に、こちらは対象物の内側を加工する方法です。

穴開け加工で空いた穴をさらに成形するなど、主に穴あけ後の仕上げに用いられる事が多い加工方法です。

こちらも穴を開けて決められた寸法や形状に繰り広げる為にバイトを使いますが、用途に合わせて数種類のバイトがあり、穴開けバイトやネジ穴に使うめねじ切りバイトなどがあります。

 

穴開け加工

こちらはドリルを使って対象物に穴を開ける加工方法です。

穴開け加工は穴を開ける事にフォーカスしているため、仕上がり具合の精度は高くありませんので、穴開け後の内部加工で精度を上げていきます。

穴開けに使われるドリルも汎用的なツイストドリルの他にも、切れ味をさらに深くする油穴つけドリルや、下穴をくり広げる際に使われるコアードリルなど、他にも用途に合わせてたくさんのドリルがあります。

 

ネジ加工

ネジ加工はネジ山であるネジのギザギザ部分を作る加工のことです。

ギザギザを作る方法は、切削以外にも惰性加工が用いられているものもありますし、雄ねじを作るのか、それとも雌ねじを作るのかによっても用法が変わってきます。

雄ねじと雌ねじの関係は差し込む側のボルトと、そのボルトを受ける側のナットをイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

雄ねじを作る際にはダイスダイスハンドルという工具を、雌ねじを作る際にはタップタップハンドルと、それぞれ違う工具で作られています。

他にもねじ切り盤を使ったり、旋盤を使ってネジ加工をする事もあります。

 

抜き加工

抜き加工は板金加工によく用いられる加工方法ですが、切削加工における抜き加工は、プレス加工のように型を使って一気に打ち抜く方法ではなく、主に旋盤を使って加工していきます。

プレス加工や板金加工のように厚みによる制限はほとんどなく、大きな材料や精密さが要求される加工にも対応できるのが、切削加工における抜き加工の特徴として挙げられます。

段差をつけたり細かい抜きが必要な時に用いられる事がありますが、加工に少し時間がかかるためコストはその分高くついてしまいます。

 

切削加工の種類とその用途について

次に切削加工はどのような切削工具を使った加工があるのか、その種類と用途についてお伝えします。

スライス加工

スライス加工は転削加工の代表的な加工で、切削工具を回転させて固定した対象物の位置を制御しながら当てて削り取る方法です。

フライス盤と呼ばれる複数の刃がついた円筒形の切削工具を使って、削りたい位置に合わせて平面や曲面、溝などを加工していきます。

フライス加工では主に四角棒など角材の切削を得意としていて、自動工具交換機能を有したNCフライス盤などにも用いられています。

旋盤加工

旋盤加工はスライス加工が転削加工の代表であるのに対して、対象物を回転させて切削工具をあてて加工する旋削加工の代表的な加工です。

多くの機械加工で用いられる加工で、フライス加工が得意とする角材よりも丸材の加工を得意としていて生産性も高い事で知られています。

加工の方法は、外径・端面・内径・ネジ加工と幅広く、用途に応じて溝を作ったり、滑り止めのような凹凸を作って加工することもできます。

 

穴開け加工

先程も少し触れましたが、穴開け加工は主にドリルを使って穴をあける加工方法で、開けた穴を内部加工によって細かく精度を上げていきます。

穴開け加工では、ボルトの穴や軸受の穴などを作る際に行われ、ドリル以外にもリーマと呼ばれる工具や、ネジ穴加工に使わえるタップといった工具も使われています。

他にもドリルの大きさよりも大きな穴を開けたい場合に、穴ぐりバイトを使って穴を広げていく中ぐりなどもあります。

 

NC加工

NC加工はコンピューターの数値制御(numerical control)による機械の加工方法で、切削用の工具を座標値によって定義して動作し、加工が行われます。

切削以外の加工方式でもNC加工は使われていますが、代表的な工作機械としてNC旋盤やNCフライス盤があります。

高精度で複雑な曲面や形状の加工もNC制御を使って自動で加工ができたり、多種類の加工の段取りが出来て量産も可能ですので、非常に生産性が高い事で知られています。

 

切削加工は日本が誇る技術の象徴

まだまだここで挙げた内容以外にも切削加工の方法や用途はありますが、切削加工はものづくり大国として君臨してきた日本の製造業を支える根幹となる加工技術の一つです。

世界でもトップクラスの加工技術を持つ日本の製造業ですが、特に高精密度が求められる分野においては世界一と言ってもよいでしょう。

天然素材を刃物を使って切断したり、削ったりして用途に合わせて形状やサイズを加工し、高い技術力を培ってきて今日の精密機器や医療機器の部品・製品を作り上げてきました。

その技術は日本国内に住む私達の生活を支えるだけでなく、世界中の鉄道や建設物、生活に密着した精密部品にも使われるなど、その技術は未だ衰える事なく世界中の国の方たちの生活を豊かにしています。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

この記事では、金属加工において最も多く用いられている切削加工についてお伝えしました。

切削加工は太古の時代から行われてきた金属加工の一つで、現代においてもその存在はあらゆる場所や道具に使われて私達の生活を支えてくれています。

切削加工は用途に応じた加工ができ、切って削るだけでなく穴を開けたりネジきりをする事もできるなど多種多様にわたり、多くの工作物や部品を作る事を可能としてきました。

その技術や生産性は日々進化を続け、私達日本の国を豊かにするだけでなく、世界中の国で使われている精密機械や建設物などでも使われて、その地域の方たちの生活向上にも役立っているのです。

株式会社サンライズ機工では、精密機械のシャフト加工をメインに金属加工を行っておりますが、他にもどのような金属、小ロットでも加工致します。

ものつくり大国である日本が誇る高精密な技術を提供する金属加工企業の一員として、今日も数ミリ単位の小さな部品から数メートルの大きなシャフトでも一つ一つ丹精を込めて作り込んでいます。

各種、金属加工をお考えでしたら、純国産、日本の伝統である物作りの精神と高品質にこだわった私たちサンライズ機工にご相談下さい。